KINZAI FINANCIAL PLAN                             20055月号

年金額計算の4月からの改正点

 公的年金制度が今年の4月から変更されていると聞きました。5月から年金を受け取る予定ですが、年金額への影響を教えてください。

 

 20046月に成立した公的年金改正法により、20054月から変更されている制度がいくつかあります〔図表〕。

その中で、年金額を計算するうえでの変更点といえば、65歳未満の在職者の年金(在職老齢年金)支給停止の仕組みと老齢厚生年金(65歳未満)の定額部分の計算の仕組みがあげられます。今回はその2つの改正点に絞って、事例に基づいて検証してみましょう。

 

◆一律2割カット廃止で年金額が増える

 在職老齢年金については、65歳未満の人は年金や給与の額にかかわらず、年金額の一律2割がカットされるという仕組み(基本月額=年金月額×80%)が廃止されました。ただし、年金月額と総報酬月額相当額(直近1年間の賞与込みの標準報酬月額)との合計が28万円を超えると、今までどおり支給停止が行われることになります。

事例で確認してみましょう。

【事例1

厚生年金保険に90月加入している会杜員A(1945430日生まれ)の場合

・国民年金保険料納付済期間:250

・年金額の概算:

6063歳まで……報酬比例部分 17  500

6365歳まで……報酬比例部分 17  500

定額部分     15 3800

合      32 4300

・現在の給与(標準報酬月額) ……    20万円(賞与なし)

 

A氏が60歳以後も同じ給与で厚生年金保険の被保険者として働いた場合の年金額を改正前の計算式で試算してみると

基本月額=年金月額×80%

17500円÷12×0.8

11367

11367円+20万円≦28万円

したがって、年金額は2割が停止となります。

17500円×0.234100(支給停止年額)

 

63歳から65歳までについても同様に計算すると、年額で64860円が支給停止されます。

ところが、4月からこの一律2割カットの仕組みが廃止されましたので、

基本月額=年金月額=17500円÷12

14208

14208円十20万円≦28万円

 

となり、年金額は全額支給されることになります。改正前の制度と比べると、A氏の場合、63歳までは年34100円増、65歳までは、年64860円増となります。

なお、A氏の場合、賞与の支給がないので、63歳までは標準報酬月額が26万円以下(報酬月額27万円未満)であれば、年金は全額支給されます。

また、この支給停止調整開始額である28万円については、28万円に各年度の再評価率改定め基準となる率(政令で定める率)を乗じて1万円単位で変動した場合には改定されることになるので注意してください。

◆長期間加入していた被保険者に朗報

 それでは、もう1つの事例で、老齢厚生年金(65歳未満)の定額部分の計算の変更点をみてみましょう。

【事例2

39年間厚生年金保険に加入して、60歳の誕生日に定年退職となったB氏の場合

1945415日生まれ

・厚生年金保険加入期間:468(その他の加入歴なし)

・年金額概算額:

6063歳まで……報酬比例部分125万円

 

B氏が、63歳以後に受給する定額部分の年二額を計算してみます。従来の計算式は以下のようになります。

1676円×1.032(乗率)×444月×0.988758741

 

従来の計算式では、被保険者月数に上限(444月)があり、長期間加入していた被保険者には不利となっていました。加えて、定額単価の乗率が1.000に近づく世代が60歳を迎えると、定額部分の月数に上限が設定されているために、長期間加入していた被保険者は、65歳まで支給される定額部分の額が65歳以後に支給される老齢基礎年金の額より低くなってしまうという逆現象が発生してしまうことになります。

このため、定額部分の月数上限が生年月日により、徐々に480月に引き上げられることになりました。したがって、B氏の場合、生年月日により上限は444月ではなく468月(24月増)で計算されることになりますので、

1676円×1.032(乗率)×468月×0.988799754

 

となり、63歳以後に支給される定額部分の額については、改正前の額と比べると、年約4万円の増額となります。

B氏と同じ年度生まれの人(194542日〜194641日)では、定額部分の計算に用いる加入期間が1(12)増えるごとに約2万円年金額が増加することになります。

なお、2005年度の年金額の計算式については、物価スライド特例水準のまま据え置かれています(詳細は、次号で解説予定)。

以上のように、4月から改正された項目の中には、受給者の年金額に直接結びつく改善点もありますので、公的年金への理解を深めてもらう意味でも、正確なアドバイスを心がけてください。

 

@国民年金保険料の引き上げ

国民年金保険料が13300(2004年度)から280円引き上げられ13580(2005年度)となった。

A若年者に対する国民年金保険料の納付猶予制度の創設

30歳未満の就職困難者については、本人と配偶者の所得が一定額以下の場合は10年以内に保険料を追納できる保険料納付猶予制度を導入。納付猶予期間について追納しない場合はカラ期間の扱いとなる。

B保険料免除申請の遡及

申請免除および学生納付特例の承認期間の遡及(申請免除については7月まで、学生納付特例については、4月まで遡及して承認される)が行われる。

C第3号被保険者の特例届出

届出が漏れている第3号被保険者期間について、1986(昭和61)4月以降であれば、2年より前の期間であっても届出によって、第3号被保険者期間として取り扱う。20054月以後の届出もれについてはやむを得ない理由がある場合は2年以上遡って納付済期間と認められる。

D次世代育成支援の拡充

(育児休業中の保険料免除措置の拡充)

育児休業中の厚生年金保険料の免除措置の対象を1歳未満から3歳未満へ拡充。さらに、子が3歳までの間は、勤務時間の短縮等により標準報酬が低下した場合でも従前の標準報酬月額で年金額を算定。

E国民年金の特例任意加入の適用拡大

国民年金の特例任意加入(65歳以上70歳未満)の対象を1965(昭和40)41日以前生まれの人にも拡大。

F特別障害給付金の創設

国民年金の任意加入期間に加入しなかったことにより、障害基礎年金を受給できない人を対象に、障害等級(12)によって福祉的措置として支給する特別障害給付金制度を創設。

G60歳代前後の在職老齢年金の改善

在職中の老齢厚生年金の一律2割支給停止を廃止。

H定額部分の被保険者期間の上限改定

60歳代前半の老齢厚生年金の定額部分の被保険者期間の月額上限を改定。

生年月日

上限月数

1944(昭和19)42日〜1945(昭和20)41

456

1945(昭和20)42日〜1946(昭和21)41

468

1946(昭和21)42日〜

480