KINZAI FINANCIAL PLAN 2004年9月号
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マクロ経済スライドが年金に与える影響は? |
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Q 今年成立した公的年金制度の改正のなかで、マクロ経済スライドについて詳しく教えてください。年金額に大きな影響があると聞きましたが……。 A 厚生年金保険は、いままで賃金スライドや物価スライドにより年金額の改定が行われてきました。マクロ経済スライドは、賃金や物価の変動に調整率を加味した再評価を用いて年金額を改定します。 ◆ 物価が上昇しても年金はふえない 現行制度の厚生年企保険は、1人当たりの賃金上昇率(手取りペース)に応じて、現役時代の標準報酬月額(標準賞与額)を再評価して平均標準報酬額を算出しています(賃金スライド)。国民年金は、国民生括の動向等を踏まえて年金額を政策改定しています。また、毎年、物価の変動に応じた年金額の改定(物価スライド)も行われます。 このような年金額の政定を、経済全体の総賃金(労働者1人当たりの平均賃金×労働カ人□)の伸びに合わせて調整する仕組みがマクロ経済スライドです。これまでとは異なり、世の中全体の総賃金の上昇をぺースとするため、平均賃金が上昇しても労働者数が減少すれば、その分、スライド率は下がることになります。これがマクロ経済スライドの考え方です。 また,これまで5年ごとに行っていた再評価率の改定は毎年実施されることになります。具体的には,賃金や物価の変動にスライド調整率(後述)を加味した(新)再評価率を使って平均標準報酬額を算出します。 ◆ 年金額の改定方法は68歳で変更 では、マクロ経済スライドについて、もう少し詳しくみていくことにしましょう。 受給権者が67歳までの年金額については、名目手取り賃金変動率を基準とし、68歳になる年度以降の年金額については、物価変動率を基準としたスライド制(基準年度以後再評価という)がとられます。名目千取り賃金変動率とは、賃金の総支給額から税金や社会保険料を差し引いた手取り賃金とは異なり、以下切の3つの要素を使って算出します。 @
実質賃金変動率……5年前の年度の標準報酬額平均額(厚生年金保険の被保険者、共済年金の組合員等の標準報酬月額や標準賞与額などの総報酬額を被保険者数で割って算出した月平均)に対する前々年度の標準報酬額等平均額の比率を5年前の年における物価指数に対する前々年における物価指数の比率で割って実質値にした率の過去3年間の平均 A
可処分所得割合変化率……保険料の上昇による手取り賃金の変化を調整するための率 B
物価変動率……前々年に対する前年の消費者物価変動率 @×A=A→実質手取り賃金変動率 A×B=B→名目手取り賃金変動率 さらに、67歳までについての名目手取り賃金変動率や68歳以降についての物価変動率をスライド調整率で調整します〔図表1〕。このスライド調整率とは、公的年金の被保険者の減少率(3年平均)や平均余命の伸びを勘案した一定率(0.997)を合わせた率で、当面の間はマイナス0.9%となります。なお、マクロ経済スライドを適用した場合、厚生年金保険および国民年金は同じ基準で給付水準の調整が行われます。 マクロ経済スライドが適用される期間を「調整期間」といい、2005年度以降について、毎年度、年金額が調整されます。試算では2023年度に給付水準が50.2%となった時点で調整期間が終了する予定です。
◆ 今後数年間は年金額の上昇はなし なお、当面は特例措置が適用されることになっています。現在の年金額はこれまでの賃金と物価の変動を反映していますが、1999年から2001年までの物価下落率である1.7%については、まだ年金額に反映されていません。そこで、今回の改正では、調整率を差し引いた率がプラスとなったとしても、それが、1.7%に達するまでの間は、年金額の改定をしないこととされました。したがって、この物価スライドの特例措置の影響を受けて、今後数年間は実際の改定は行われないことになります。
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