KINZAI FINANCIAL PLAN                           20051月号

会社員の妻が働いた場合の損得

 もうすぐ38歳になると専業主婦です。子供も手が離れたので、パートで働こうと思っていますが、夫の扶養を外れて働く場合の損得について教えてください。

 

 年間給与収入が103万円を超えると所得税法上、ご主人の扶養から外れますが、目先の損得だけにとらわれず、社会保険等全体の給付について、将来のことまで見据えて考えることが大切です。

 

130万円が分岐点

会社員の妻がパートとして働いた場合、一般的に所得税や社会保険料の負担のない範囲で働いたほうが得といわれています。この負担が発生する分岐点は、所得税では「103万円」、社会保険料では「130万円」となります。

103万円という額は、所得税の給与所得控除額の最低額である65万円と、基礎控除額である38万円を合計した額です。妻の年間給与収人がそれを超えないのであれば、妻は所得税が課税されず、夫には38万円の配偶者控除が適用されるため、夫の所得税も軽減されます。このような理由から、パートなどでは103万円を超えない範囲で働くことを希望する人が多いわけです。

しかし、〔図表〕をみてもわかるとおり、103万円を超えても家計全体の手取りの増減には大きく影響しません。むしろ、影響するのは、夫の扶養から外れた場合の社会保険料の負担です。

〔図表〕の家計の手取り合計の推移例からもわかるように、妻の年間給与収入が130万円であるとき、129万円の場合と比べるとI45200円も夫婦の手取り収入が減少します。このケースの場合、夫婦の手取り収入の減少は約150万円まで続くことになり、この範囲内で働いた場合は、妻の年収がふえても、夫婦の手取り額が減ってしまうという悪循環が起こってしまいます。

 

◆ 給付のメリットも念頭に

 妻の社会保険料等の負把により生まれる将来の給付も考慮する必要があります。たとえぱ、厚生年金保険への加入は、将来の老齢厚生年金につながります。社会保険(厚生年金保険、健康保険)は、パートであっても労働時間が正社員員のおおむね4分の3以上の場合、加入することになります。その場合、妻は将来、老齢基礎年金だけでなく老齢厚生年金も受給できます。

〔図表〕の年収130万円以上については、妻が38歳から59歳までの22年間、厚生年金保険に加入した仮定でシミュレーションしています。老齢厚生年金は年収(月給)に比例して額が増加するので、夫婦合計の年金額も増加します。さらに、障害や死亡といった場合にも、一定要件を満たせば、障害厚生年金や遺族厚生年金を受給できます。厚生年金保険への加入は、保険料を負担しなければなりませんが、その分、将来の年金給付や万一のときの給付は充実します。

次に社会保険への加入について、厚生年金保険以外の給付についても考えてみましょう。まずは、健康保険の場合です。健康保険についても妻の年間給与収入が130万円未満であれば、夫の被扶養者となり、保険料の負担は必要なく、3割の自已負担で診療を受けることができます。一方、会社の健康保険に加入した場合は、給与に応じて保険料の負担が発生します。治療を受けた場含の自己負担は3割ですので、この点では加入のメリットはみられません。ただし病気やケガで仕事を休んだ場合や出産で休んだ場合は、傷病手当金や出産手当金といった健康保険の加入者独自の給付制度があり、給与の6割が支給されます。これらの給付については、健康保険への加入のメリットといえます。

さらに、1週間に20時間以上勤務し、1年以上働く見込みがある場合には、雇用保険に加入することになります。毎月の保険料負担はありますが、一定期間以上勤務後に会社を辞めた場合、失業等給付にあたる基本手当を受給することができます。さらに一定要件を満たせば、教育訓練給付や育児休業給付を受けられるなどのメリットもあります(〔図表〕は、年収130万円以上で雇用保険に加入したとして試算)

以上のように、妻が夫の扶養から外れて働く場合には、デメリット面を考える人が多いのですが、じつは将来的給付を含めた給付面のメリットも存在します。顧客へは、この点も踏まえてアドバイスしてください。