介護施設労務管理 Q&A (2010年3月現在) 

Question


⇒Q1 強制参加の教育・研修時間は労働時間としなければならないでしょうか?
例えば、研修参加回数に応じて、休暇を与える等の方法は可能でしょうか?


⇒Q2 夜勤時間内に利用者の急変等があり休憩を取ることができなかった場合、
どのような対応をすれば良いでしょうか?
たとえば、休憩時間をとれなかった分について、就業時間を切り上げる(早めに
帰宅させる)等の取扱は認められるでしょうか?


⇒Q3 パートタイマー(1日6時間)が業務の都合で1時間残業し、7時間勤務した場合、
時間外割増賃金を支払う必要はありますか?


⇒Q4 昼食を利用者と食べる時間は休憩時間となりますか?

⇒Q5 勤務時間が9時~18時(休憩1時間)の場合で、半日有給休暇を取得して
12時~21時(休憩1時間)勤務した場合、18時以降は時間外割増賃金を
支払う必要がありますか?


⇒Q6 月あたりの公休を9日と定め、法定、所定の定めをしていない場合、
法定休日とはどの日になりますか?

⇒Q7 半日の休日を1週間のうち2回与えた場合、もしくは4週間で8回与えた場合、
法定休日の要件を満たすことになりますか?


⇒Q8 退職者の年次有給休暇の買い上げは、本人からの申出があれば、
法人は必ず応じなければなりませんか?


⇒Q9 職員が時間単位の年次有給休暇を申請していたが、労働者の都合で全休と
なってしまった場合、1日単位に変更することは可能ですか?


⇒Q10 時間単位の年次有給休暇を導入する際に、起算日は法人が定めて良いでしょうか?

Answer

Q1
強制参加の教育・研修時間は労働時間としなければならないでしょうか?
例えば、研修参加回数に応じて、休暇を与える等の方法は可能でしょうか?


A1
研修や社員教育に参加する時間を労働時間として取り扱うか否かについては、その参加が強制されているかどうかが判断の基準となります。
行政解釈では「労働者が、使用者の実施する教育、研修に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益な取扱いによる出席の強制がなく、自由参加のものであれば、時間外労働にならない」(昭26年1月20日 基収第2875号)となっています。
ご質問の場合、強制参加ということですので、労働時間に含める必要があり、これについては賃金を支払わなければなりません。休暇での代替は認められません。
なお任意参加の研修であれば研修参加回数に応じて休暇等を与えることは問題ありません。


Q2
夜勤時間内に利用者の急変等があり休憩を取ることができなかった場合、どのような対応をすれば良いでしょうか?たとえば、休憩時間をとれなかった分について、就業時間を切り上げる(早めに帰宅させる)等の取扱は認められるでしょうか?


A2
労働時間が6時間を超える場合、就業時間の間に休憩を与えなければなりません。
従って、ご質問のように休憩をとれなかった場合、就業時間を切り上げても、労働基準法34条違反となります。
しかし利用者の急変等、臨時的かつ突発的なもので、社会通念上妥当なものであれば、やむを得ない事由として判断されると思われます。
やむを得ない事由として認められるには、次のような点を勘案して判断されます。
①休憩を取ることができない事象が、頻繁に起こるものではないこと
②介護保険法等に定める職員の配置基準を満たしているだけでなく、
休憩時間を確保するための労務管理(人員配置等)を使用者が行っていたこと
③日頃より、臨時的、突発的な事項への対応方法の周知、教育等を行う等の対応を
行っていたこと
など
いずれにしても、職員が休憩を取ることができるための体制を作っておくことが重要です。
また休憩を取得できなかった場合、その時間は労働時間となりますので賃金の支払いが必要です。就業時間を切り上げた場合、(労働基準法における正式な休憩時間とはなりません)その時間についての賃金の支払いは必要ありません。
 

 
 


Q3
パートタイマー(1日6時間)が業務の都合で1時間残業し、7時間勤務した場合、時間外割増賃金を支払う必要はありますか?


A3
1日6時間というのは施設の所定労働時間となりますので、1日8時間の法定労働時間を超えない限り、2割5分増しの割増賃金を支払う必要はありません。
たとえば時給制のパートタイマーであれば、1時間分の時間給(割増なし)を支払えば良いということになります。
 


Q4
昼食を利用者と食べる時間は休憩時間となりますか?

 
A4
労働基準法上においては、以下の判断基準が挙げられます。
①利用者と昼食をとることが業務命令であり、シフト等で強制されているのかどうか? ②昼食をとる場合、できる限り利用者と一緒に取ること等、労働者の任意と
なっているのかどうか?
③食事介助や誤飲の恐れ、昼食後の排泄介助等を行う職員が別途配置されているのか? シフト等で強制されており、食事介助等を行う必要がある場合には、休憩時間にならないでしょう。また、利用者の介護度も判断に影響を与えるでしょう。
例えば、通所サービスの利用者等で比較的軽度の方との昼食と入所者で食事介助が必要な方が多い場合とでは、労働基準監督署の判断も異なると思われます。


Q5
勤務時間が9時~18時(休憩1時間)の場合で半日有給休暇を取得して12時~21時(休憩1時間)勤務した場合、18時以降は時間外割増賃金を支払う必要がありますか?


A5
ご質問のケースでは、実労働時間は法定労働時間の8時間以内となっていますので、2割5分増の時間外割増賃金を支払う必要はありません。
ただし、半日有給休暇に係る時間は所定労働時間に含まれます。
つまり月給制の場合、「半日有給休暇+12時~18時(休憩1時間)」で月給に見合う所定労働時間を満たしたことになります。18時~21時の労働については、月給には含まれていないため「時間給(割増なし)×3時間」分の賃金を支払う必要があります。


Q6
月あたりの公休を9日と定め、法定、所定の定めをしていない場合、法定休日とはどの日になりますか?


A6
労働基準法では、法定休日を特定することを義務とはしていません。したがって、法定休日とするべき日という定義はなく、1週1休(または4週4休)が確保されれば、法律上の休日労働は発生しません。
ただし、行政通達(昭和23年5月5日基発682号、昭和63年3月14日基発150号)では、できる限り休日を特定して定めるように指導されています。したがって労務管理上は公休の9日のうち「法定休日」となる日をシフト表等で確定することが望ましいでしょう。
また職員への影響を勘案すると、シフトの変更により出勤日が変更となる場合でも「法定休日」はできる限り「休日」とする(振替は行わない)等の措置をとるように心掛けて下さい。


Q7
半日の休日を1週間のうち2回与えた場合、もしくは4週間で8回与えた場合、法定休日の要件を満たすことになりますか?


A7
法定休日の要件は満たしません。法定休日はあくまでも1日単位で与える必要があります。
なお、法定休日を超える所定休日を半日単位で与えることは問題ありません。


Q8
退職者の年次有給休暇の買い上げは、本人からの申出があれば、法人は必ず応じなければなりませんか?


A8
退職者の年次有給休暇の買い上げは、法人が任意で選択できる制度であり、応じることが必須ではありません。ただし、就業規則等で買い上げの規定が定めている場合には、応じる必要があります。


Q9
職員が時間単位の年次有給休暇を申請していたが、労働者の都合で全休となってしまった場合、1日単位に変更することは可能ですか?


A9
例えば、9時~12時までの3時間の年次有給休暇を申請していましたが、労働者本人の都合で結果として1日休むことになってしまった場合、原則として1日の年次有給休暇を取得したとするのが妥当と思われます。(時間単位の年次有給休暇は1年間で5日という限度があるため、消化しない方が労働者に有利と思われるため)
また、労働者が時間単位の年次有給休暇を申請していたものの、事前に1日単位に変更することもできます。
ただし、使用者が労働者に時間単位の年次有給休暇を1日単位の年次有給休暇に変更するように指示することは認められません。反対に1日単位の取得申請を時間単位に変更するように指示することも認められません。
なお、時間単位の取得時間を変更するようにお願いすることは可能です(例えば9時~10時を13時~14時に変更してもらう等)。


Q10
時間単位の年次有給休暇を導入する際に、起算日は法人が定めて良いでしょうか?


A10
時間単位の年次有給休暇は労使協定を結ぶことで導入することができます。起算日についても、労使協定で定めて下さい。


※当回答については、2010年3月現在における労働基準法および法令解釈通知等に基づき回答しております。最終的な判断は所轄の労働基準監督署にご確認下さい。

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