~テキスト販売のお知らせ~ 令和6年度版「人生の第3ステージへ!ライフプランを考えよう」「未来のお金をまるっと見える化!キャッシュフロー表作成ブック」が完成しました。

企業資本等式

ここでは、会計の原理原則として、企業資本等式をご紹介します。

第1章 会計の原理原則

目次

1.企業とはなにか

テキスト

企業とは何か。

ここでは、企業を簡単な図に表して説明します。

まず企業を考える場合、企業内部と外部に分けることができます。

当初、企業の中には何もありません。

企業が何か事業を行おうとする場合、

外部から「ヒト」「モノ」「カネ」といった経営資源、経営リソースを調達することになります。

企業の内部ではそれら調達した経営資源を組み合わせて業務を実施し、

外部に対しサービスや商品、製品などを提供します。

今見てきた 外部から「ヒト」「モノ」「カネ」といった経営資源を調達し、

それらを使って業務を行い

そして外部に対してサービス、商品、製品を提供するという流れは、

財・物の動きということになります。

3つの基本決算書である貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書のうち、

この財・物の動きを表現しようとしているものが損益計算書になります。

企業から外部に対し、サービス、商品、製品が提供されると「収益の発生」となります。

そして、収益は、損益計算書で表現されます。

この財・モノの動きに対して、お金の動きがあります。

お金の動きは、財・モノとは反対になります。

3つの基本決算書のうち、

このお金の動きを表現しようとしているのがキャッシュフロー計算書になります。

では3つの基本決算書のうち貸借対照表は何を表すのでしょうか。

ここまでの話は、財・モノの動きとお金の動きを表現しようとする損益計算書とキャッシュフロー計算書について説明をしました。

貸借対照表は、動きではなく、企業の一時点における状態を

いわば横から写真で撮り表現したものになります。それが貸借対照表です。

なお、これら3つの基本決算書の説明については後ほど行います。

では企業とは何か。

企業は、このように外部から経営資源を調達し、外部に対してサービスや商品、製品を提供する存在です。その動きに合わせて、企業は、外部からお金を受け取り、外部から調達した経営資源にお金を支払っています。

この時、受け取るお金が支払うお金よりも大きくなければ、企業は萎んでしまい、存在できなくなります。

つまり、企業が存在し続けるためには、経営資源に支払うお金よりも企業が受け取るお金の方が大きくなければなりません。

 このような状況を継続することで、企業は徐々に成長することになります。

 すなわち、企業は付加価値を産み出す存在であるということになります。

 では、どうすれば付加価値を生み出すことができるか、ということになりますが

それは経営マネジメントの領域に任せることとし、ここでは深く説明することはしません。この図から言えることは、調達した経営資源の強みを最大限に活かし、各経営資源が相互に弱みを消しあえば、大きな付加価値を生み出すことができるとだけ指摘しておきましょう。

それでは、以上で、「企業とは何か」についての説明は終わります。

動画

2.企業の経営実態と決算書

テキスト

企業の経営実態と3つの基本決算書の関係についてお話をします。

皆さんは企業の内部において働いていらっしゃいます。

すなわち、企業経営には、実態があるということです。

その皆さんの働いている経営実態を数値化し、決算書に表示することになりますが、

その時に経営実態を会計言語し変換し数値化することになります。

そのルールを知らない人からすると、それはまさに暗号化です。

会計言語に変換され数値化された経営実態は、会計データベースに蓄積されます。

それが企業資本等式であり、ここでいう会計の原理原則です。

企業資本投資という会計データベースに収録された経営実態は、3つの基本決算書に代表される決算書に表現され、見える形に整えられます。

私たちは、これらの決算書を見ながら、企業の経営実態がどのようになっているか知ることができます。

ただ、経営事態が会計言語に変換され、表示されるルールを知らなければ、数字をなぞるくらいしかできないかもしれません。また、決算書だけを見ている人は、その裏側には、しっかりと経営実態があるということが希薄になってしまうことがあります。ですから、会計の原理原則だけは、しっかりと押さえて欲しいと思います。

動画

3.ストック・フローと3つの基本決算書

テキスト

ここでは、ストック・フローと3つの基本決算書の関係についてお話します。

企業は設立されると永続することを前提としています。これをゴーイングコンサーンといいます。

企業経営が永続されるということは、企業の経営状態がどのような状況か把握するためには人為的に区切る必要があります。区切ることによって線と点ができます。線がフローで、点がストックです。

そして、フローが会計期間であり、ストックが会計期末・時点となります。

このフローとストックに対応し、フローを表現する決算書が損益計算書とキャッシュフロー計算書です。ストック部分を表現するのが貸借対照表になります。

ここでこの三つの基本決算書の基本的な見方が重要になります。

3つの基本決算書は、継続する企業の経営を人為的に区切って誕生したわけですから、企業経営の流れの中で決算書を見ることが基本になります。

具体的には貸借対照表は会計期末のものだけを見るのではなく、前期末の貸借対照表と比較してみることが重要になります。もちろん損益計算書やキャッシュフロー計算書もそのように見るのですが、企業経営の流れを踏まえた見方となると前期の貸借対照表と当期の貸借対照表をまず比較し、財政状態が良くなっているかどうかを把握します。企業経営において財政状態が悪化すれば経営を継続できなくなります。そこで、まずは継続できる状態なのか財政状態をチェックします。そして、前年度と比較して財政状態が悪くなったあるいは良くなったその要因が損益計算書にあるのかキャッシュフロー計算書にあるのかという視点で2つのフロー決算書を見るということになります。このような見方が企業の経営の流れに沿った基本的な決算書の見方ということになります。

動画

4.会計の原理原則(企業資本等式)

テキスト

会計の原理原則、企業資本等式について説明していきます。

企業の経営実態は会計言語に翻訳され数値に変換されて会計データベースに記録保存されていきます。この会計データベースでおける記録・保存のルールが会計の原理原則である企業資本等式です。企業資本等式は計算式ではありますが、図で覚えた方が理解しやすいでしょう。図を見てもお分かりとおり、企業資本等式は、資産、負債、純資産、収益、費用の5つのカテゴリーから構成されています。左側に資産と費用が配置され、右側に負債、純資産、収益が配置されます。すなわち企業の経営実態は五つのカテゴリーに分類され記録集計されていくことになります。そして左側の資産と費用の合計と負債と純資産と収益の合計は必ず一致します。これは計算した結果一致するのではなく、ルールであり、定義式です。それぞれのカテゴリーを説明します。資産は現金預金、商品、建物、備品といった会社の財産です。費用は、売上などの収益を得るために使用した経営資源であり、資産の減少を伴います。負債は借金に代表されるいずれかえさなくてはならないお金のことでマイナスの財産などとも言われます。純資産は資本金に代表される会社の元手と獲得した利益の累計額で、企業が利益を得ると増加します。純資産は会計原則によっては資本とも言います。収益は売上に代表される会社にお金をもたらす要因になります。それぞれのカテゴリーの意味はそれはそれとして、まずは企業資本投式の図を頭の中にイメージしてください。そして、企業の経営実態は、この企業資本等式が成り立つように記録集計されているということを理解してください。

動画

5.会計の原理原則と勘定科目

テキスト

ここでは企業資本等式と勘定科目の関係について説明します。

企業の経営実態は会計用語に翻訳され数値化され、企業資本等式が成り立つように会計データベースに記録集計されていきます。これが会計の原理原則です。しかし、会計言語に翻訳する際には、企業資本等式の資産、費用、負債、純資産、収益だけでは不十分です。より正確に経営実態を表すために、これら5つのカテゴリーの中には、さらに細かい分類が用意されています。これを勘定科目といいます。勘定科目の設定は、企業によって異なりますが、代表的なものを示すと次のようになります。

資産には現金や預金、売掛金、建設仮勘定などがあります。費用には売上原価や給与・賞与、地代家賃や減価償却費などがあります。負債には買掛金や未払金、短期借入金などがあります。純資産には資本金や利益剰余金があります。収益には売上高や受取利息などがあります。ここで示しているのは代表的な勘定科目で、実際にはもっと多くあります。また、新たな勘定科目が登場する可能性もあります。ですから、勘定科目を無理に覚える必要はありません。しかし勘定科目が登場したら、それが5つのカテゴリーのどれに属するのかを確認し、企業資本等式図に書き加えながら理解するようにしてください。そうすれば会計の原理原則を踏まえた考え方を身につけられると思います。

動画

6.会計の原理原則と3つの基本決算書

テキスト

ここでは会計の原理原則である企業資本等式を使って集計された数値がどのように3つの基本決算書に姿を変えていくかその流れを説明したいと思います。

まず、一会計期間を考えます。

期初、会計期間のスタートでは、前期から引き継いだ資産、負債、純資産、つまり、貸借対照表から業務が始まります。スタート時点では、収益も費用も発生していません。つまり、この期首時点の貸借対照表は、いわば収益と費用がゼロの企業資本等式と言えます。

この企業資本等式の収益と費用がゼロの状態から業務が始まると、会計期間中には、資産、負債、純資産、収益、費用の各カテゴリーに多数の情報が蓄積されていきます。そして、会計期末を迎えます。

会計期末になると、企業資本等式は、資産、負債、純資産と収益、費用に分離されます。分離された収益と費用は相殺されて損益計算書になります。収益が費用よりも大きい場合は、利益が算出されます。

算出された利益は、純資産に加えられて利益剰余金となります。純資産に利益が加えられたことで、資産の合計金額と負債と純資産の合計金額が一致します。これが、期末時点の貸借対照表になります。この貸借対照表は、次期のスタート時点の貸借対照表にもなります。そして、資産の中の現金の出入りを一覧に表したものがキャッシュフロー計算書になります。

このように会計の原理原則である企業資本等式に従って3つの基本計算書が作成されます。

会計の基本は、まず、この流れを理解することです。

動画

目次